トロッコ列車で峡谷を探勝する関西電力の黒部峡谷鉄道(富山県黒部市)。途中の柳橋駅〜森石駅間、宇奈月ダムのダム湖・うなづき湖に架かるのが「猿専用吊り橋」です。日本広しといえど、動物が大渓谷を渡るためあえて架橋された吊り橋はここだけ。なぜ、猿専用吊り橋が誕生したのでしょう?
ダム湖誕生で猿の移動が遮断
平成13年5月17日に発電が始まった宇奈月ダム。
ダムの完成で誕生したうなづき湖ですが、ほぼ同時期に周辺の畑でのニホンザルによる被害が増大化したのです。
時間の経過とともにニホンザルによる農被害は拡大したことが最大の理由です。
宇奈月ダム周辺は、ニホンザルの餌となるアキグミ(実を捕食)の生育地ですが、ダム湖の完成で水没、さらには、湖を渡ることができなくなったことで、「餌もなく、移動もできない状況」が生まれました。
これを打開するため、ダム周辺にアキグミを植栽、さらには猿専用の吊り橋を架橋したのです。
吊り橋を架ければ解決するだろうと予測できたのは、現在の猿専用吊り橋の場所に、関西電力の吊り橋があり、ニホンザルが移動に使っていたから。
そうした「実績」をもとに、1年がかりの工事の末、平成16年12月に完成。
実際に一度に20匹もの猿が集団移動することもあるとかで、猿の移動ルートが確保されました。
農被害も減少し、現在も猿が愛用する橋として機能しています。
黒部峡谷鉄道の柳橋駅〜森石駅間にありますが、両駅とも関西電力の関係者のみ利用できる専用駅のため、猿専用吊り橋は、車窓からの見学となります。
