伏見稲荷大社の千本鳥居は、赤いトンネルが見事で、訪日外国人観光客がそのビジュアルな光景に感嘆しています。神社といえば鳥居ですが、木造鳥居の多くは赤く塗られています。朱塗り(正しくは丹塗り)、色名では丹色(にいろ)というもので、真っ赤とは違います。さてさて、どうして神社の鳥居は朱塗りで赤いのでしょう?
赤い色には魔除けの効果がある!

やや黄みがかった渋みのある鮮やかな赤色が丹色ですが、現在のような化学的な塗料のなかった時代、赤い色を発色させる手段として用いられたのが、紅殻(ベンガラ)と辰砂(しんしゃ=水銀朱)。
日本最古の赤色の絵の具で、古墳内部の棺を納める壁などにもこの丹色が塗られていることがあります。
卑弥呼(ひみこ)が登場する、古代中国の歴史書『魏志倭人伝』に、「倭(わ)は丹を産出する」、「倭の人々は丹を体に塗っている」と記されていますが、この弥生時代の丹は、辰砂のこと。
辰砂は、硫化水銀を主成分とする鉱物で、室町時代には中国からの輸入に頼るようになりました。
なぜ、鳥居に丹色が彩色されるのかといえば、魔除けの効果があるとされてきたから。
飛騨高山の「さるぼぼ」、会津の赤べこが赤いのも、子供を病魔などから遠ざけようという目的があるのです。
つまり、丹色が魔を祓う神聖な色だったからです。
さらにいえば、成分の硫化水銀が木材の防腐防虫効果を生み、耐久性が向上するという実利面もありました。
伏見稲荷大社を総本社とする稲荷信仰では、朱色は「豊穣」や「生命の活力」を象徴する色で、稲にとって最も大切な太陽を表す色でもあるのです。
神社の鳥居はなぜ赤い!?

現在は化学的な塗料が塗られることも多い鳥居ですが、ベンガラ(酸化鉄)などの鳥居があれば、じっくりと色を楽しんでください
伏見稲荷大社の鳥居が見事なのは、このベンガラ(酸化鉄)の発色です



